育成の記録Vol.22
『石積』
毎回、職人さんの技術に感嘆してばかりなのですが今回ご紹介する現場でも、何気なく見ていた景色を作り出すための大変さ、その裏にある職人技術の奥深さを体感しました。今回は石積みの紹介です。
石垣の勾配を決める
この現場では、一段あたりの勾配を決めて、写真のように糸を貼って積んでいきます。
職人さんが選んだ石はまるで魔法のようにピタッと石同士を繋いでいき、あっという間に一段、また一段と積み上がっていきます。簡単そうに見えるかもしれませんが、石は平均20〜30Kgあるので運ぶだけでも体力を要し、経験がなければ途方もない時間がかかると思います。
なんでこんなにピタッと揃う?
もちろん私も職人さんと一緒に石を積んでいるのですが、まずどの石を選ぶのか?から分かりません。職人さんに教えてもらったのが、「石には顔があるからそれを見るように」と言われました。「顏?」と思っていると、続けて「石の表面だけでなくその裏側も見る事」そう教えてくれました。
モルタルの硬さ
少し余談かもしれませんが、この技術でも職人さんのスゴさを目の当たりにしたのでご紹介させてください。今回の石積みは、できるだけ垂直に近い勾配を一段づつ、つくっていくためにモルタルを使っています。ご存知の方は多いと思いますが、モルタルとはセメントと砂、水を混ぜてつくる接着剤のような役割を持つものです。
シンプルだからこそ、色んな要素が仕上がりに影響するのも特長です。例えばその時の気温や湿度、用途を何に使うかによっても粘度も変わってきます。
赤木組の職人は、モルタルの粘度も職人技です。これこそ培った経験であっという間にベストな状態をつくりあげていきます。(言葉ではこのスゴさがうまく伝わらないかもしれないので、またどこかのタイミングでつくっている様子を動画に収めておきたいと思います。)
石垣の完成です
何度見ても惚れ惚れする出来です。さすが赤木組の職人です。今回もまた、この現場に携われてとても充実していました。こうしてみるとアートのようです。
こうした所にも職人の技が隠れていることが伝われば嬉しいです。
今回の現場を通じて、普段良く通る道の石垣のクオリティの高さに気付きました。どんな職人が、どんな技で積んだのか?とても気になります。