育成の記録 松添編(12)
『石積み、石の顔』
いつも僕の土木ブログを読んでくださり、ありがとうございます。赤木組の松添です。
今回は石積み作業についてご紹介させていただきたいと思います。
石積みとは?
その名の通り、石を一つひとつ組み合わせながら積み上げ、土砂の崩れを防いだり、土地の高低差を支えたりする土木作業です。
一見すると、ただ石を積んでいるだけのように見えるかもしれません。しかし実際には、石の形を見極めながら、安定する向きや組み合わせを考えて積んでいく必要があります。
今回の現場では、職人さんの熟練した技術を間近で見て、多くのことを学ばせていただきました。今回は、僕自身の学びの視点も交えながら、この「石積み」についてご紹介できればと思います。
1本か、2本か?
前述したように、石積みはただ石を積む作業ではありません。土木作業は、すべて正確な数字をもとに進められています。石積みも同じです。
一段一段、丁張をかけ、水糸を張り、高さや通りを確認しながら、石を一つひとつ積んでいきます。
見出しの「1本か、2本か?」は、この水糸のことです。
職人の先輩方は、水糸1本だけを基準にして石を積んでいきます。きっと頭の中では、完成形が立体的に見えていて、縦・横・通りの線が方眼紙のように引かれているのではないかと想像します。
それくらい、たった1本の水糸を基準にしながら、積み上がった石の天端がピタッと揃っていきます。
後で触れますが、石は自然のものなので、同じ形のものはありません。それなのに、きれいに高さが揃っていく様子は、本当に魔法を見ているようでした。
石の顔
初めて石積みを経験したとき、専務や職人の先輩方が、次に使う石をいとも簡単に選んで持っていく姿を見て、とても驚きました。
自分には、どの石を選ぶのが正解なのかが見当がつかず、スピードを意識していた事もあり、戸惑いもありました。
そこで専務に、
「なんで分かるんですか?」
と聞いたことがあります。
そのときの専務の答えが、とても印象に残っています。
「そりゃあなあ、石の顔を見とるからよ」
「石が、使こうてくれえ。と見てくるんよ」
「そういう男前の石がある」
「その石と目が合うんよ」
そう教えてくれました。
正直、そのときは「そんなわけない」と思っていました。
ただ、今回の石積みは僕にとって2回目の経験だったのですが、それが分かる瞬間がありました。
石積みの現場では、たくさんの石の中から、その場所に合うベストな石を選び、積んでいきます。
最初は石として認識していたのですが、だんだんと「顔」のように見えてきました。
専務が言う、こちらを見てくる“男前の石”。
気づけば、自分も自然と、顔(石)を探していました。
ただ、まだ「使こうてくれえ」という声までは聞こえていません。笑
専務は「そのうち聞こえる」と言ってくれますが、今の僕はまだ半信半疑です。


石積みあるある
赤木組では「育成面談」という形で、専務にも同席していただき、日報を振り返る時間があります。
その面談の中で、今回の石積みについて振り返っていたところ、「こんなんあるよな。笑」
という話で盛り上がりました。
せっかくなので、石積みあるあるとして少し紹介させてください。
ひっくり返したら“なんじゃそりゃ”
目が合った石を持ち上げてみると、裏側がまったく想像していなかった形をしていることがあります。
「目が合ったのは気のせいかい!」と思ってしまうような石です。
ひっくり返したら“うわっ!”
石の裏側は、いわば生き物たちの避暑地のような場所です。
石をひっくり返すと、いろいろなものが出てくることがあります。
ときには、思わず「うわっ!」と声が出ることもあります。
裏側が気になる
町で石積みを見かけると、つい裏側の形を想像してしまいます。
僕が最初に教えてもらったのは、石積みに向いている理想の石は、三角錐のような形だということです。
だから、きれいに積まれた石を見ると、
「裏側はこんな形かな?」と想像してしまいます。
職業病ですね。
次の目標
今回の石積みの現場では、親方から「4倍速で」と言われていました。
土木作業は、細かい工程の積み重ねです。その一つひとつを丁寧に、そして早く行うことで、全体のスピードは格段に上がっていきます。
実は今回、「早よせい」と言われる中で、水糸を1本にした基準で作業に挑戦してみました。
しかし、翌日の日報にも書きましたが、現場で見ると高さが揃っていませんでした。
そこからは水糸を2本に戻し、石を探す、持ってくる、据える。この一つひとつの工程を少しでも早くできるよう、丁寧さも意識しながら取り組みました。
そして、常に先を見据えること。
僕の得意な「先読み!」を、今回も徹底しました。
現場が終わったあと、親方から、
「次は2倍速な」と言われました。
成長を感じてもらえたのだと思いました。
次は、2倍速。水糸1本。
これが、今の僕の目標です。